会場:関西学院大学大阪梅田キャンパス
講師:林 直也(関西学院大学 人間福祉学部 教授)
寒さ厳しくも、晴天に恵まれたこの日、会場は関学同窓生を含め50名程の参加者がありました。
今回は、林 直也先生(関西学院大学 人間福祉学部教授)に「スポーツ」×「地域活性化」~「みる」スポーツの事例から学ぶ、スポーツが地域に根差す意義~ と題してご講演いただきました。
近年、プロ野球やJリーグ(1993年5月開幕)、Bリーグ(2016年9月開幕)など、私たちは身近に多様なスポーツを観戦する機会が多くなっています。
また、1993年のJリーグ発足をきっかけに地域に根差すチーム作りが行われ、地域活性化の動きが盛んになってきました。
地域活性化とは?
・人口減少に一定の歯止めがかかっており、近い将来においても定住人口の維持が可能である市町村を『活性化している』と捉える。
・活性化運動を通じて、個人的付加価値、社会的付加価値、経済的付加価値を達成し、最終的に定住人口の維持・増加を目指す動き。
ここ数年、各スポーツ観戦料(市場規模)は順調に拡大しており、Jリーグではクラブ数を増加し、ファンを拡大。プロ野球界でもセ・パ両リーグで総観客数が増加しています。
「見る」だけのスポーツから、「楽しむ」観戦へ。
プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地では、球場内に観覧車やメリーゴーランドがあり、野球観戦以外で子どもが飽きずに楽しめる工夫がされています。
また、各球団では“球場メシ”と言われる、そこでしか味わえない味、名物となる食べ物、インスタ映えする食べ物や、球団オリジナルグッズなどを販売し、年に1、2回しか来場されないお客(light customer)を刺激し、ファン拡大を進めています。
然しながら、地域にスポーツチームが誕生するだけで自動的に地域が活性化し、その地域に誇りを持ち、応援してくれる保証はありません。チーム誕生後、現実的な問題(高まらない認知度・注目・関心・集客不足・チーム弱体)に直面し、地域を元気にするはずだったチームがいつしか地域の懸念事項になることも。
近いというだけで応援してもらうにはどうすればよいか?消費者行動の特徴として、
① 消費の二極化
自らにとって価値あるものには惜しみなく投資し、価値のないものには投資しない。
② 選択と集中
限られた資源の中で満足度を最大化させるため、投資対象の選択と集中を行う。
娯楽多様化の中で、スポーツを選んでもらえる理由をつくることが必要です。
・そのチームが好きだから(不安定要素と安定要素)
好きな選手がいる、強いから。
(不安定要素)→ 選手移籍や引退など。
チームの姿勢、地域貢献活動、イメージ、ファンサービス、地域に賑わいをもたらす。
(安定要素)→ 定期的にチームイベントを開催。
地域が抱える課題解決の手段としてスポーツが選ばれる取り組みが重要です。
・地元小学校でのスポーツ教室
・地域清掃活動、児童通学見守り隊、農業振興や食育推進。
・地元伝統行事への参加することで、伝統文化の継承サポート。
・地元産業のPR など。
これらは、スポーツ本来の活動である必要はなく、地域住民の生活を楽しく、豊かに、幸せにすることを目指し、各スポーツ界では様々なイベントを通じて、地域の問題を発信し、スポーツファンづくりではなくコミュニティ(仲間)づくりが大切であるとも言えます。
最後に林先生は、大学体育会系クラブが地域に対してできることとして、関西学院大学体育会陸上競技部が行っている地元小学校での走り方教室や、陸上と算数を掛け合わせた教室のご紹介をいただきました。
◆次回の梅田講演会は以下の日時で開催します。
日 時: | 2019年2月21日(木)14:00~15:30 |
会 場: | 関西学院大学大阪梅田キャンパス 1405教室 |
講 師: | 芝野 松次郎 関西学院大学 名誉教授・元人間福祉学部教授 |
テーマ: | 子ども・子育て支援を紡ぎ出す ~親と子のふれあい講座の試み~ |
定 員: | 80名(先着順) |
申込方法: | 大阪梅田キャンパスHPよりお申込ください。 http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/ |
お問合せ先: | 関西学院大学大阪梅田キャンパス事務室 電話(06)6485-5611 |