・開催日時 : 2021年3月4日(木)14時~15時30分
・開催方法 : オンラインによる実施
・講 師 : 中道 基夫 関西学院大学 神学部教授・学部長
今回の梅田講演会は、新型コロナウイルスが収束できない中、従来と異なり、初めての試みとしてオンラインによる開催となりました。
テーマに興味と関心を持たれた方が多くおられたことに加えて、自宅で聴講できることにより、関学卒業生を含め、74名の方がオンラインで参加されました。
講師は中道基夫先生(関西学院大学 神学部 教授・学部長)です。
テーマは「 キリスト教と葬儀 ― 歴史と現代的課題 ― 」でした。
中道先生は、まず、日本にフランシスコ・ザビエルがキリスト教を伝えて以来、キリスト教と葬儀との関係は大きな課題であったこと。それが、①葬儀が変化してきていること、②死や悲しみを表現する言葉・場・時間が喪失してきていること、が今日の問題になっていることを指摘されました。
このことを踏まえて、①キリスト教と葬儀との関係を歴史的に振り返り、②現代における葬儀、特にキリスト教葬儀の課題について、配付資料をベースに分かりやすく説明されました。
1,日本におけるキリスト教葬儀の歴史
ア)キリシタン時代:代用理論・適応主義、
イ)明治時代:プロテスタント宣教の始まり、自葬の禁止、
ウ)家族制天皇制の中で:祖先教というシステム、
エ)戦後 異教的要素の排除:「葬儀は礼拝です。」
オ)対決時代から、対話の時代へ
カ)1980年代以降:グリーフケアの時代、
2,日本人である私とキリスト教者である私
ア)日本における葬送文化
イ)欧米中心型のキリスト教からの脱却
ウ)答えのない葬儀の問い
エ)そもそも、「正しいキリスト教葬儀」というものはない
オ)だれも、正解を知らない、正解をきめられない
カ)現代の日本のキリスト教葬儀の実態と課題
①日本の中で変わってきたキリスト教葬儀
3,キリスト教葬儀の基本
ア)死者の霊を神様の御手に委ねる。
イ)遺族の慰めを祈る。
ウ)復活の希望を語る。
エ)キリスト教エンディングノートと一般的なエンディングノートの違い。
4,今、キリスト教にできること、必要なこと
ア)3つの死
①1人称の死 自分の死
②2人称の死 自分を愛する人の死(大きな課題)
③3人称の死 直接経験しない死
イ)葬儀は終わったけれども・・・・
遺族ケアは、もっとも注目されている。(教会での課題)
ウ)教会は不得意、牧師の力量ではなく、教会の中の遺族ケア
山のシステムを
エ)2人称の死(グリーフワーク←悲しみ)を重視する教会へ
①ドイツの例:Trauercafe(トラウアー<悲しみ>・カフェ)
オ)今こそ高齢者信徒の経験と言葉が活かされるとき
カ)葬儀から始まる牧師と信徒の共同牧会
キ)新しい共同体としての教会
〔参考〕・死や悲しみを表現する物語=聖書
・否定を否定する物語=聖書 <否定=死>
・悲しむ場と時間=礼拝・牧会
・希望を共有する場と時間=礼拝・牧会
・悲しみを共有する人々=教会
・希望を共有する人々=教会
上記の内容をさらに補足されながら、丁寧に説明されました。
講演の終了後、オンライン受講者から多数の質問があり、7件の質問に回答されました。
今回は、初めての試みとしてオンラインでの開催となり、受講生の皆様方には受講用のアプリをインストールしていただくなど事前の準備も必要となりました。一方で、近畿圏以外からも参加があり、新しい梅田講演会の形として位置付けられました。